【グリーンブック】人種を超えた友情が世界を変える!?

「グリーンブック」は、ジャマイカ系アメリカ人のクラシック・ジャズピアニストのドンと、運転手兼ボディガードを務めたイタリア系アメリカ人の警備員トニーのコンサートツアーを回る伝記コメディー映画です。

タイトルの黒人用旅行ガイドの「グリーンブック」がこの物語の象徴と言えるでしょう。1962年の人種差別が色濃く存在していた、アメリカを舞台にしています。

この二人が旅を通して変わっていく様子は心を打ちます。全く正反対の性格・身分・人種の二人の旅は終わった時、いったいどんな変化が起こるのでしょうか?

(トップ画像出典:https://gaga.ne.jp/greenbook/preview/img/header-img.jpg)

「グリーンブック」作品情報

 

公開2019年(アメリカ映画)
原題Green Book
製作・脚本・監督ピーター・ファレリー
製作・脚本ニック・バレロンガ
キャストヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリ、リンダ・カーデリニ、ディミテル・D・マリノフ、マイク・ハットン、P・J・バーン

 

1960年代のアメリカ南部であった実話を基に、人種差別が色濃く残る地域で黒人ジャズピアニストとイタリア系白人運転手が旅を続けるなかで育んだ友情の姿を描くヒューマンドラマです。

トニー・リップ(本名:トニー・バレロンガ)の実子であるニック・バレロンガが製作・脚本を務め、「メリーに首ったけ」などコメディ映画を制作してきたファレリー兄弟の兄ピーター・ファレリーが監督を行いました。

米アカデミー賞の有力な前哨戦である、第41回トロント国際映画祭で最高賞の観客賞を獲得しました。第76回ゴールデングローブ賞でも作品賞(コメディ/ミュージカル)を受賞しています。

 

「グリーンブック」のあらすじ

 

 

1962年ニューヨーク。トニーは、その中でも一流と言われているナイトクラブ「コパカバーナ」で、頼りになる用心棒として働いていました。しかし、店舗改装のためお店は閉店。トニーは無職となります。

一方、天才的な黒人ピアニストとして活躍しているドクター・ドナルド・シャーリーは、運転手を探していました。そんな中ドナルドの運転手に、トニーが抜擢されることに。

ドナルドは、黒人差別が色濃く残るアメリカ南部へ演奏旅行へ向かうとトニーに告げます。トニーは迷いますが、覚悟を決め、ドナルドの運転手を引き受けることに。

こうして、黒人用旅行ガイドブック「グリーンブック」を頼りに、性格も価値観も全く正反対な2人の男のアメリカ縦断の旅が始まるのです。

 

「グリーンブック」キャスト紹介

 

「ドクター・ドナルド・シャーリー」と、トニー・リップ・バレロンガ」のキャストの紹介と、モデルになった実在の人物とはどんな人だったのか紹介していきます。

 

トニー・リップ・バレロンガ(ヴィゴ・モーテンセン)

 

 

1958年10月20日生まれ。アメリカ、ニューヨーク市マンハッタン出身。デンマーク人の父とアメリカ人の母との間に生まれ、マンハッタンで育ちます。

高校時代から演技を始め卒業後、演劇学校に入学。舞台で経験を積むなどして、85年「刑事ジョン・ブック/目撃者」で映画デビューを果たします。

2001年、ピーター・ジャクソン監督のファンタジー超大作「ロード・オブ・ザ・リング」三部作で正義の勇者アラゴルンに抜擢され一気にトップスターの仲間入りを果たします。

この、「グリーンブック」では役作りで20キロも体重を増やしたとのこと。20キロ!?半端ない役者魂ですよね。一瞬だれかわからない程です。

 

ドクター・ドナルド・シャーリー(マハーシャラ・アリ)

 

 

1974年2月16日生まれ。アメリカ、カリフォルニア州オークランド出身。188cmと高身長で、バスケットボールで活躍しますが、演技に興味を持ちニューヨーク大学で演技を学びます。

TVシリーズ「女検死医ジョーダン」で本格デビュー。「4400未知からの生還者」で名を広め、「ベンジャミン・バトン数奇な人生」「正義のゆくえI.C.E.特別捜査官」「プレデターズ」などにも出演します。

話題作「ムーンライト」では多くの映画賞に輝き、初ノミネートとなったアカデミー賞助演男優賞を見事受賞しました。「グリーンブック」でもアカデミー賞助演男優賞、ゴールデングローブ賞助演男優賞を受賞しました。

 

ドロレス・バレロンガ(リンダ・カーデリーニ)

 

 

1975年6月25日生まれ。カリフォルニア州レッドウッドシティ出身。4人兄弟の末っ子で、Loyola Marymount Universityを卒業しています。

1996年以降、テレビや映画に多く出演。アメリカの有名医療ドラマ「ER緊急救命室」で、シングルマザーの看護師役として第10シーズンから登場しています。

「グリーンブック」ではトニーの妻を演じています。用心棒するほどのトニーですが妻には頭が上がりません。旅へ出かける時に手紙を書くようトニーに約束させ、手紙を読んで嬉しそうにほほ笑む笑顔が印象的です。

 

 

「グリーンブック」のモデルになった二人を紹介!

次に「ドクター・ドナルド・シャーリー」と、トニー・リップ・バレロンガ」のモデルになった二人を紹介していきます。

ドン・シャーリー(ドナルド)の経歴は?

 

 

本名はドナルド・ウォルブリッジ・シャーリー。フロリダ州ペンサコーラで1927年1月29日、ジャマイカの移民である司教の牧師の父と、教師の母の間に生まれました。

シャーリーは2歳半でピアノに興味を持ち、教会でオルガンを演奏していたそうです。 9歳の時に母親が亡くなり、シャーリーはレニングラード音楽院で理論を学ぶためソビエトに渡ります。

その後、ワシントンDCのカトリック大学でコンラッド・ベルニエ博士とタデウス・ジョーンズ博士から高度な作曲のレッスンを受けます。18歳のときにBoston Popsと共演してデビュー。

翌年、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団は、シャーリーが最初に作曲した作品を演奏しています。そして1949年には、博覧会国際デュバイセンテネールデポルトープランスの演奏にハイチ政府から招待を受けます。

 

ドン・シャーリーの私生活は?

 

1度結婚したけど、コンサートツアーにでるミュージシャンと夫は兼任できなかった

 

と作品内でも語っていましたが、実生活でも1度結婚したものの子どもはなくその後離婚。シャーリーはゲイであり、離婚の後、死ぬまで独身でした。

シャーリーの兄弟であるカルバンとエドワードは医師になり、ノーベル平和賞を受賞したマーティンルーサーキングJr.とは親密な友情関係にあったようです。

 

ドン・シャーリーはなぜドクターと呼ばれていたのか?

 

映画の中でドン・シャーリーは、「ドクター・シャーリー」または「ドクター」「ドク」と呼ばれています。現実でもミュージシャン仲間からもそう呼ばれたようです。

理由は音楽、典礼芸術、心理学の博士号を取得していたからでは?と言われているようです。しかし、並の人ではないのは確かですよね。

 

圧倒的な才能の持ち主なのに、その時代に黒人がクラッシック音楽を演奏するための環境が十分でなかったため、シャーリーは不本意ながらもナイトクラブでの演奏が多かったようです。

 

トニー・リップ(トニー)の経歴は?

 

 

本名は、フランク・アンソニー・ヴァレロンガ。1930年にペンシルベニア州ビーバーフォールズで、イタリア人の両親の間に生まれました。

実は、リップ(唇)という呼び名は、トニーの口から出まかせで世の中を渡ってきたことから付いたあだ名なんです。1951年から1953年までアメリカ陸軍に勤務し、ドイツに駐留します。

シャーリーの運転手をする前には、コパカバーナでスーパーバイザーとして働いていました。運転手の仕事が終わった後、コパカバーナに再び戻り働きます。

トニーが後に俳優となり、デビュー作であるゴッドファーザーでの小さな役に出演できたのは、コパカバーナでフランシス・フォード・コッポラとルイス・ディジアムに出会ったのがきっかけだとか。

 

トニーが働いていた「コパカバーナ」

 

「コパカバーナ」とは、ブラジル南部の都市リオデジャネイロにある海岸の名前なんです。ナイトクラブ「コパカバーナ」は、当時有名人やセレブが通う一流のナイトクラブでした。

「コパカバーナ」は、1941年第二次世界大戦直前にEast60ストリートにオープンし、周辺の開発事業のため1度は閉店したものの、2011年タイムズ・スクエアで再開を果たしました。

 

日本でも赤坂に昭和33年ナイトクラブとして「コパカバーナ」がオープン!実はデビ夫人が当時、コパカバーナでホステスをしていて、そこでスカルノ元大統領と出会った場所として有名なんですよ。

 

「グリーンブック」口コミ感想紹介。

 

たくさんの口コミ感想の中から、気になるものをご紹介していきます。共感できるものもあると思いますよ!

 

 

 

 

 

 

多くの人に、胸に響く映画なんだな・・・と感想を見ているだけでも感じますよね。正反対の性格の男二人旅・・・友情と、感動とそして・・・

「黒人差別」がテーマとなっていて、重くなりがちですがそれ以上に、二人が旅をする間に段々とお互いを認め合い理解していく様が心地よく感じます。

 

「グリーンブック」名言集

 

作品内でぐっときた名言を、ご紹介していきます。ご自身で視聴された時に「これか・・・」とちょっと思い出してくれたら嬉しいです。

 

「人は決して暴力では勝てない。威厳を保ったときだけ勝てるんだ」

ドナルドがすぐに喧嘩をしてしまうトニーに言ったセリフです。喧嘩が強いのはわかりますが、確かに暴力では根本的解決にはなりませんものね。

 

 

「私が完全な黒人じゃなくて、完全な白人でもなくて、完全な男でもなかったら一体私は何者なんだ?」

ドナルドが、トニーに泣きながら言った名言です。アイデンティティに苦しむ彼の心境が伝わってきますよね。己は何者なのか・・・天才ピアニストの苦悩が伝わります。

 

 

「誰だってベートベンやジョーパン(ショパンの間違え)やみんなが言うような他のピアニストのように演奏することはできるけど、あんたの音楽はあんたにしかできない」

トニーがドナルドのピアノを褒めたたえたセリフです。学のないトニーですが誰にも真似できないドナルドの演奏に胸を打たれ感動したのでしょうね。

 

 

「他の黒人があるタイプの音楽を好きだからって私まで好きじゃなきゃおかしいってことはないし、黒人みんなが同じ種類の食べ物を食べなきゃいけないわけでもない」

黒人に対して強い偏見を持つトニーに対して、ドナルドが言ったセリフです。「黒人」をすべて一つのくくりとして考えているトニーに対して我慢ならなかったんだろうな。

 

 

「黒人男性のために働くことに何か問題はありますか?」

ドナルドがトニーに、仕事の面接で聞いた質問です。これが、さらっと言っているけど最大の問題ですよね。ドナルドはトニーの顔色を慎重に見ている様子が印象的です。

 

 

「ドン・シャーリーがピアノを演奏したのを今夜見たんだけど、彼は有色人種のような弾き方をしない。まるでリベラーチェのように弾くんだ。むしろそれ以上だ。彼はまるで天才だよ」

トニーが妻に書いた手紙の一文です。ドナルドの才能に素直に驚いた様子を伝えています。ドナルドの演奏に圧倒されるトニーの様子が作品内でも伝わってきますよ。

 

 

「君は一度なぜドン・シャリーがこれをやる(差別の強い南部でツアーをやる)のかって聞いたけど、それに答えるよ。天才だけでは十分じゃないんだ。人々のハートを変えるには勇気がいるんだ。」

バンドのメンバーであるオレッグが、トニーに言ったセリフです。ドナルドの演奏に魅せられて、彼の周りには理解してくれる人がちゃんといてくれるんだな・・そう感じました。

 

 

黒人のための旅行ガイド「グリーンブック」

 

1936年から1966年まで発行された、郵便配達人であったヴィクター・H・グリーン氏により発行された、黒人のための自動車旅行ガイドブックが「グリーンブック」です。

当時、黒人に対して公共交通機関で不当な扱いを受けたり、不愉快な差別や、隔離・侮蔑を受けることは日常茶飯事でした。黒人が車を買うようになったのはそんな状況も理由の一つです。

黒人の貧困は著しく、自動車を所有している家庭は限られていたのですが、徐々に中産階級にも黒人が現れ始め、自動車を持つようになりつつあった時代です。

しかし、白人が経営するガソリンスタンドで入店拒否や給油拒否を受けたり、旅先では宿泊や食事の提供を拒まれたり、自動車整備工場での修理を断られたりと、白人からの差別はそう簡単には無くなりません。

 

 

「グリーンブック」本当の二人の物語は?

 

この「グリーンブック」はトニーとドナルドの実際にあった出来事を基につくられた映画です。

トニーは、世界的に有名なナイトクラブ「コパカバーナ」の用心棒として働きました。この時の知識・経験・人脈をもとに後に、『ゴッド・ファーザー』や『グッド・フェローズ』などに出演することになります。

息子のニック・バレロンガは、ハリウッドでクリエイターとして働き、今回父親の知られざる実話を映画化しました。自身も製作・共同脚本として参加しています。

 

映画と同じ事実と、相違点は?

トニーが演奏旅行中に、妻に約束させられた手紙を熱心に書きます。それは今でも息子のニックの元にたくさん残っているのだそうです。映画の中でシャーリーが文章を考え、それをトニーが書いていたのは本当のこと。

 

 

トニーが警官を殴ってふたりで警察に捕まったとき、釈放されず困ったシャーリーが当時の司法長官だったジョン・F・ケネディの実弟(ロバート・ケネディ)に電話をします。これは本当の話しです。

ホワイトハウスでも演奏をしていたシャーリーは、この出来事の数日後に亡くなったジョン・F・ケネディの葬儀にはふたりで出席したのでした。

映画の中ではクリスマスまでの8週間の演奏旅行でしたが、本当は1年半にもおよぶ長期の旅でした。長い間苦楽を共にしたからこそ、あれだけの絆が生まれたのでしょうね。

ドクターの年齢はトニーより4歳年上でしたが、2人は、同じ2013年に亡くなっています

 

「グリーンブック」で訴えたかったものって?

 

人種を超え、二人は親友になることができました。トニーは「黒人差別」がこんなに色濃く残っていることを痛感し、「グリーンブック」の意味をきっと理解したことでしょう。

それでも、彼はドナルドの才能に魅せられて彼を尊敬し「君にしかできない!」と応援します。そんなトニーの素直な気持ちがドナルドにも届いたのでしょう。

色々な偏見や差別のない世界が訪れること、尊敬しあうことで本当の友情が生まれるのだと言うこと・・そんなメッセージが込められている気がします。

 

 

最後に

 

「グリーンブック」を見た後、あったかい気持ちでいっぱいになります。今でも世界中で差別や、偏見が横行し「民族戦争」も多数ある中、こんなに相棒を尊敬して大事に思えるなんて・・・

二人の旅を一緒に経験しながら、笑顔になったり大笑いしたりして、最後には微笑んでしまいます。こんな無二の親友が私も死ぬまでに出来たらなと思います。

作品内のドナルドの演奏は本当に心を打ちますよね。迫力あり、それでいて繊細・・・本当に天才ピアニストなんですよね。あなたの心には響きましたか?

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